講演
Speakers
講演紹介
特別講演
概要
半導体の未来を描く。具体的には、1) 半導体産業の現状,2)日本の戦略,3)半導体技術の進展によって社会と産業がどのように変わるのか,4)半導体を巡る国や企業の競争がどのように展開されていくのか,5)人材をどのように育成するか,6) 50年後に半導体技術はどのような姿になっているか,7) 半導体超進化論について議論する.半導体は,第3期成長期を迎え,国家基盤となり,AIと共進化する,といった大きな潮流を抑えながら,課題としては,エネルギー効率と開発効率の改善,それに加えて,俯瞰力を持った人材の育成と民主化であることを述べる.
略歴
- 1982年 東京大学工学部電気工学科卒業.工学博士.同年(株)東芝入社
- 1988年~90年カリフォルニア大学バークレイ校客員研究員.2000年に慶應義塾大学に移り,2002年より教授.2007年カリフォルニア大学バークレイ校MacKay Professor.
- 2019年より東京大学教授.研究センターd.labと技術研究組合RaaSを設立
- 2023年より技術研究組合LSTCの設計技術開発部門長.福岡半導体リスキリングセンター長
- 2024年より東京大学特別教授,および熊本県立大学理事長
- 米国電気電子学会と電子情報通信学会のフェロー.半導体のオリンピックと称される国際会議ISSCCで60年間に最も多くの論文を発表した世界の研究者10人に選ばれる.著書の『半導体超進化論 世界を制する技術の未来』は,英語,中国語(簡体字と繁体字),韓国語に翻訳されている
概要
本講演では,LINEヤフーにおける視覚言語モデル(VLM)の開発と応用について紹介する. LINEヤフーは多種多様なインターネットサービスを展開しているため,大量かつ多様なデータの蓄積と,あらゆる場面でのAI活用の可能性を有している. そのような状況下でのマルチモーダル基盤モデル,特にVLMの開発状況や事業応用事例の紹介,今後の活用の可能性について述べる.
略歴
- 2018年~2020年 筑波大学大学院 システム情報工学研究科.修士(工学).コンピュータビジョンの研究に従事.MIRU2019にて学生優秀賞を受賞
- 2020年~2022年 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA).野球のデータ分析などに従事
- 2022年~2023年 LINE株式会社.ドキュメント処理技術の開発に従事
- 2023年~現在 LINEヤフー株式会社.視覚言語モデルの開発と事業応用に従事
- 複数の学会コンペティションにおいて入賞経験あり.Kaggle Grandmaster
オーガナイズドセッション
概要
トヨタ自動車の製造工程における画像認識AIの活用と広がりについてご紹介します.100年に一度の大変革期と呼ばれる現代において,CASEや少子高齢化への対応として自動車製造業は大規模なリソーセスシフトが必要な状況に迫られています.特に製造現場では作業者負担が大きい工程も散見されるため,健康で働ける工場作りが必要なってきます.そこでトヨタ自動車では内製のAI-PFの開発と活用を通じて“製造現場が主役”のAI実装を推進しております.現場の知見×画像認識AI技術を活用した現場の余力づくりとリスキリングの取組みについて実例を交えてご紹介いたします.
略歴
- 2012年 愛知工業大学を卒業後,他社に就職後,2015年にトヨタ自動車に中途入社
- 入社後は新規車両の完成車良品質を作りこむ車両品質生技部に配属され,主に生産準備を通して量産ライン立ち上がり時の車両品質向上に貢献
- 2017年に車体生技部に異動し,溶接・プレス工程の生産準備にて新規車両導入における溶接設備,プレス金型の企画,導入,生産準備を実施
- 2021年溶接工程における接着剤塗布工程の自働検査を担当,弱教師あり学習を活用した異常検知モデルにて省人化を実現
- 2022年BR生産本部 生産デジタル変革Gに異動し,自らの経験をもとに製造現場で汎用的に活用できる内製AI-PFを開発開始
- 2023年より生産本部 生産デジタル変革室 AIグループ長に就任.同年AI-PFを全社展開し,106件のAI実装(PoC含む)を実施
- 2024年は更なる拡大に向けてAI-PFの開発を中心として“製造現場が主役”のAI活用実現に向けて活動している
概要
水や空気といった「流体の流れ」は直接には目やカメラで見ることは難しいが,流れに追従するトレーサーを加えることで可視化計測が可能となる.本講演では,次世代医療技術として注目される,3Dプリント技術を駆使した血管モデルやマイクロ流体デバイス内の流れの3次元状態をどのように計測するか,についての我々の取り組みについて,技術や装置開発,計測事例とともに紹介する.また,我々の研究以外の最新研究動向についても解説する.
略歴
- 2006年 慶應義塾大学大学院理工学研究科 博士課程修了 博士(工学)取得
- 2006年 東京理科大学工学部機械工学科 助手(助教)
- 2010年 デンマーク工学大学 マイクロ・ナノテクノロジー学科 客員教授
- 2012年 東京理科大学工学部機械工学科 講師
- 2015年 東京理科大学工学部機械工学科 准教授
- 2021年 東京理科大学工学部機械工学科 教授 / 東京理科大学総合研究院ウォーターフロンティア研究センター センター長 現在に至る
- 専門:マイクロ・ナノ熱流体工学
- 研究:マイクロ・ナノ空間の熱流体現象の計測,ナノ粒子操作,フレキシブル流体センサ開発,3D血管モデルの血流評価,高機能マイクロ流体デバイスの開発など
- 学会活動:可視化情報学会 理事,日本熱物性学会 理事,日本機械学会 若手の会 会長,日本伝熱学会 広報院長などを歴任
概要
CT/MRI/レントゲン画像等の医用画像から,AIを使って,解剖学書の詳細さで,筋肉や骨格の3次元形状/4次元動態や健康状態(骨密度や筋肉量とその分布)を精密計測するシステムを紹介し,社会実装の可能性・意義につい触れる.また,これらのAIを開発する過程で私たちが取り組んだ,AIの弱点と考えられているブラックボックス問題やアノテーションコストの問題(正解データ作成に専門家の膨大な労力が必要とされる問題)へのアプローチについても紹介する.
略歴
- 1988年 大阪大学 大学院基礎工学研究科、情報工学分野 博士課程修了(工学博士)
- 1988年 NTTヒューマンインタフェース研究所
- 1992年 大阪大学医学部・助手
- 1996-1997年 Harvard Medical School, Research Fellow
- 1999年 大阪大学大学院医学系研究科 准教授
- 2014年 奈良先端科学技術大学院大学・生体医用画像研究室・教授 現在に至る
- 研究分野:医用画像解析,手術支援システム,計算解剖学などの研究に従事.国際論文誌編集委員:Medical Image Analysis (IF 10.7)
- 学会活動:MICCAI (Medical Image Computing and Computer Assisted Intervention) Society Fellow、一般社団法人 日本医用画像工学会 会長、一般社団法人 日本コンピュータ外科学会 理事、一般社団法人 電子情報通信学会 フェロー
概要
自然災害の発生時,緊急救援活動や復旧・復興に向けた取り組みを効果的に行うためには,広域に及ぶ被害の範囲やその程度を,可能な限り早い段階で把握する必要がある.衛星画像によるリモートセンシング技術は,この社会的要請に応える有力な手段であると考えられる.私の研究室では,過去に津波や洪水で被災した地域を対象に,合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar : SAR)による被害推定技術の開発に取り組んできた.本講演では,これらの取り組みや実社会への応用の可能性について紹介をさせていただく.
略歴
- 2015年3月 東北大学大学院土木工学専攻修了(博士(工)): 合成開口レーダによる津波被害推定技術の開発をテーマに学位を取得
- 2015-2019年 東京大学生産技術研究所・都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS)・助教: ICUSの目黒公郎教授の指揮のもと、リモートセンシングを活用した津波防災の総合管理とミャンマーの災害対応力の強化の研究に従事
- 2019-2024年 北陸先端科学技術大学院大学・先端科学技術研究科・創造社会デザイン研究領域・准教授: 災害リモートセンシングによる広域被害把握技術の高度化、データ分析と知識科学の統合による災害時意思決定支援手法に関する研究に従事。
概要
小売や調剤など実世界が現場となる領域でAIを活用するためには,複雑に変化する環境の中で人々の多様な行動を計測・理解し,AIによって生成された情報を適切に伝達する技術が必要です.また,人々の日常生活と密接に関わる技術は,個人とそのプライバシーを尊重し,社会的に受け入れられる形であることが不可欠です.このような背景のもと,本講演では,マルチモーダル計測に基づく人物行動の理解・支援および自律移動ロボットに関する我々の取り組みを紹介します.
略歴
- 2013年 京都大学 大学院情報学研究科 博士課程修了 博士(情報学)
- 2014-2018年 東京大学 生産技術研究所 助教
- 2019-2023年 オムロンサイニックエックス株式会社 プリンシパルインベスティゲーター
- 2023-現在 株式会社サイバーエージェント AI事業本部 AI Lab シニアリサーチサイエンティスト
- 2024-現在 慶應義塾大学 特任准教授
特別企画
概要
本講演では,人の「読み」や「学び」をセンシングしてそれを解析し,フィードバックを与えて改善するためのパターン認識理解技術について,我々が培ってきた技術を中心に紹介する.「読み」や「学び」のセンシング技術としては,画像ベースのデバイス(カメラやアイトラッカなど)が中心となるが,それ以外にも様々なウエアラブルデバイスの利用についても述べる.また,これらのセンシング技術で得られたデータを用いて,人の知識状態や心的状態を推定し,フィードバックを与える手法についても紹介する.これらの研究は,ドイツ人工知能研究センター(DFKI)との共同で行ってきたものであるため,DFKIについても紹介したい.
略歴
- 1986年 大阪大学工学部通信工学科卒
- 1988年 同大大学院博士前期課程了.同年同大大学院博士後期課程入学
- 1990年 大阪府立大学工学部電気工学科助手
- 1996年 同大学講師
- 1999年 同大学助教授
- 2005年 同大学大学院工学研究科教授,現在,大阪公立大学大学院情報学研究科教授.博士(工学)
- 2000〜2001年 ドイツ人工知能研究センター客員教授
- 2013年度〜2016年度 日本学術振興会学術システム研究センター研究員(兼任)
- 2022年6月~ ドイツ人工知能研究センター日本ラボ・ディレクター(兼任)
- 文書画像解析,画像認識,行動解析,知能増強などの研究に従事
- 2007年,2013年 IAPR/ICDAR Best Paper Award など受賞
- 2016年まで国際パターン認識連盟(IAPR) TC11(Reading Systems) Chair, 現在,International Journal of Document Analysis and Recognition, Editor-in-Chief.
概要
本講演では,生物医療画像解析における機械学習の手法と課題について紹介する.特に,正確なラベル作成には専門知識が必要であり,このため医療分野ではラベル付けコストが高くなることが問題である.大量のデータを持ちながら,限られた教師データのみで学習を行うケースが一般的である.この課題を解決するために,少数のラベル付きデータと未ラベルデータを活用する半教師学習の手法が有効である.また,診断過程で得られる関連情報を弱い教師データとして活用する弱教師学習も重要なアプローチである.このように,クラス分類,検出,セグメンテーション,追跡などのタスクにおける弱い教師データや未ラベルデータを活用した学習手法に関する研究を紹介する.
略歴
- 2002年 九州大学大学院 システム情報科学府情報理学専攻 修士課程修了
- 2002~2015年 大日本印刷株式会社
- 2012~2015年 東京大学大学院 学際情報学府 博士課程(博士:学際情報学)
- 2015~2017年 国立情報学研究所を経て,
2017年より 九州大学 システム情報科学研究院 准教授.2023年より教授. - コンピュータビジョン,特にバイオメディカル画像解析の研究に従事. Pattern Recognition(Elsevier)のAssociate Editor、CVPR2024・2025,MICCAI2024のエリアチェア、MVA2025のGeneral Chair等を務める.