IS2-D 画像処理の基礎と応用

  • 12/6(金) 13:25-15:00
    コーディネータ:藤原伸行(明電舎)
     
    IS2-D1 電子署名技術を活用した証拠能力を有する画像記録方式の検討
    ○林豊洋(九工大)
    概要:デジタル画像に交通事故現場等の重要な情報が含まれる場合,裁判や紛争解決におけ る証拠としての活用が期待されるが,現状では参考資料としての認識であり証拠能力は有さない. 既存のデジタル画像には,「改竄検知」「撮影者・撮影時刻の証明」「画像を閲覧する範囲の限定 化」に関する能力が欠如しており,証拠としての信頼性を満たさないことが要因となる.本研究では, 電子証明書および電子署名基盤,電子的な時刻認証基盤に加え,デジタル放送で活用される暗 号化技術(限定受信システム)を組み合わせ,デジタル画像に上述した能力を付与し,証拠能力を 有する記録方式について提案する.
    <キーワード>改竄検知,閲覧範囲限定化,電子認証


    提案手法の概略

    IS2-D2 視覚的看板翻訳システムのための看板位置推定と翻訳方法
    ○大城英裕,中山哲平,行天啓二,末田直道(大分大)
    概要:携帯で看板を撮影すると,他言語や他表現に翻訳,再表示する視覚的看板翻訳システムの構築を目指 している. 看板翻訳システムでは,看板のデザインを保持したまま別表示で置き換えることで,看板に関する追 加情報を別表示させることなく,利用者が看板の解釈を行えることを目的としている.看板画像は,カメラの 視点移動に応じて射影歪みが生じる。そのため,射影歪みを考慮した看板位置推定手法が必要となる。そこで, 拡大,縮小,回転に頑強なSURF 特徴量を用いた看板位置推定を構築し,その頑強性を調査した。本論文では, 方式の内容とその実験結果について述べる.
    <キーワード>SURF,画像検索,視覚的看板翻訳


    処理の流れ

    IS2-D3 再標本化を用いた高精度Hough変換の提案
    ○近藤雄基,沼田宗敏,輿水大和(中京大)
    概要:直線検出の有力な手法であるHough変換には,x-yエッジ画像平面における標本化誤差や,ρ-θパラメータ平面に投票する際の標本化誤差が伴う.このため,多数決原理で検出した直線と,x-yエッジ画像平面上の直線成分とは精度良く一致しない.このような問題に対し,本研究ではRadon変換の枠組みを応用する事により,ρ-θパラメータ平面を再標本化によって構成する再標本化Hough変換を提案する.また,この再標本化手法を用い,x-yエッジ画像平面の完全復元を達成すると共に,再標本化Hough変換の直線検出も高精度であることを確認した.
    <キーワード>Hough変換,Radon変換,再標本化,サイノグラム


    実験結果

    IS2-D4 単眼単視点画像からの空間不定合焦度分布の推定
    ○望月優介,青木公也(中京大)
    概要:画像の合焦度分布は,三次元計測や焦点ボケ画像復元などの画像処理において有用な特徴の一つである.一般的に,合焦度の推定には特殊な機器や撮影法が必要である.そこで, 1枚の光学系未知な静止画像中から空間不定な合焦度を推定する手法を提案する.提案手法では,エッジ強度を均一に正規化した画像に低周波抑制空間フィルタを適用することで推定する.提案手法によって,光学系未知の画像から合焦度が推定されたことを,実験によって確認した.
    <キーワード>合焦度推定,空間フィルタ,単眼単視点


    提案手法による合焦点推定

    IS2-D5 画像外分モーフィングにおける部分階調圧縮と局所コントラスト保存
    ○長坂洋輔(中京大),藤原孝幸(北海道情報大),
    舟橋琢磨,輿水大和(中京大)
    概要:画像モーフィングにおいて外分を適用することで2 画像の差を誇張した画像を生成できる. しかし,テクスチャの誇張の際に階調数が増加してしまい,デバイスの表示可能なダイナミックレン ジを超えることがある.本稿では画像モーフィングによるテクスチャ誇張時の階調圧縮手法におい て,ヒストグラム平坦化にクリッピングを導入することで,圧縮前以上のコントラスト誇張を抑制する 手法を提案する.実験では従来法と比較して局所コントラストが改善されることを確認した.
    <キーワード>階調圧縮,テクスチャ誇張,画像モーフィング


    実験結果

    IS2-D6 ヒストグラム形状の復元とエッジからの距離に基づく超階調解像
    ○藤原孝幸(北海道情報大),舟橋琢磨,沼田宗敏,輿水大和(中京大)
    概要:撮像系を原因とするコントラストが低い画像を得た場合や,過度な圧縮によって階調数が 削減された状況では,背景の緩やかなグラデーション等にて疑似境界が発生しやすい.これらの 階調数が削減された画像に対する,濃度階調の復元手法を提案する.このような画像では,原画 像において連続していた濃度ヒストグラム形状が疎となり,濃度値の伸張処理を用いたとしても疎 な状態のままであるため,結果として疑似境界の原因となる.また濃度ヒストグラムの形状特徴を利 用する手法においては十分な効果を得ることが難しい.そこで本稿は,疎な濃度ヒストグラム形状 から補間したヒストグラムに基づく画像復元と,注目画素から近傍の濃度値境界への距離を考慮し た画像復元を組み合わせることで,疑似境界の低減可能な画像の超階調解像手法を提案する.
    <キーワード>画像の逆量子化,画像の濃度ヒストグラム復元,距離変換


    実験結果

    IS2-D7 統計的濃度変動分析を用いた外乱画素推定に基づくロバスト画像照合
    ○斎藤正孝,橋本学(中京大)
    概要:本稿では,遮蔽などの不良条件にロバストな画像照合を提案する.遮蔽による外乱は,事前予測でき ないことから大きな問題である.本研究では,照合時に対象物中の外乱画素を毎回推定し,外乱画素を類似度 計算から除外することによって突発的外乱の影響を軽減する.外乱画素推定には,統計的濃度変動分析を用 い,統計的な濃度変動に対して不自然な濃度値を持つ画素を外乱画素と推定する.遮蔽を含む1048 枚の実 画像を用いた実験により,認識率82.2%を達成した.
    <キーワード>画像照合,遮蔽,ロバスト化,外乱画素推定


    提案アルゴリズムの概要

    IS2-D8 ロバスト画像照合に基づく大型建造物の同時多点振動計測
    王天航(北大),福田芳雄(Columbia University),
    田中孝之,金子俊一,松下昭彦(北大),M.Q.Feng(Columbia University)
    概要:建造物の健康状態を管理する方法として,従来手法の振動モニタリングの高いコストと作業の危険性に対して,本研究では,画像計測に基づく振動計測手法を提案した.より安価かつ安全な建造物振動計測を実現することを目的とする.平面射影変換を用いて,斜めから撮影した振動平面を真正面から撮ったような画像を生成する.これによって,計測平面のスケールを統一する.また,方向符号照合法(OCM)を用いて,撮影した振動計測対象の振動状況をトラッキングして,振動解析を行う.現在のところ本研究は段階的な成果が出ている.
    <キーワード>振動計測,方向符号照合法(OCM),平面射影変換


    システムの概要

    IS2-D9 多重解像度画像を用いた高次局所相関特徴による人物検出
    (OS5-H1) ○林亮佑,榎田修一,江島俊朗(九工大)
    概要:人物検出における局所勾配分布を用いた特徴量を提案する.局所領域における勾配分布の高次相関関係を多数の解像度画像に対して用いることで頭部や腹部までを内包する大域的な形状を扱う.本研究では,2段階の解像度画像を用いた特徴量と統計的学習器RealAdaBoostを組み合わせることで有効な特徴を選択及び検出性能の向上について検証した.
    <キーワード>局所特徴,高次局所相関特徴,多重解像度画像


    提案手法による検出結果

    IS2-D10 PLS回帰分析を用いた一般化Hough変換の検討
    (OS5-H2) ○竹内錬磨,加藤邦人(岐阜大),David Harwood,
    Larry S. Davis(University of Maryland),鈴木孝昌(岐阜大)
    概要:一般的なパターンマッチング手法では,ノイズや隠蔽等により認識が困難になってしまうことがある.それに対しHough変換は,ノイズや隠蔽等による画素の欠落に対して頑健である.本研究では,一般化Hough変換にPLS回帰分析を導入し学習機能を付加した.これにより,Hough変換の枠組みを持ちながら,一般物体検出を可能とした.本稿では,提案手法を衛星写真からの自動車検出両検出を例として,新たな物体検出手法を提案するとともに,実験を通して提案手法の有効性について考察する.
    <キーワード>Hough変換,PLS回帰分析,一般物体認識


    検出結果

    IS2-D11 生成型機械学習における交通信号機認識の精度向上
    (OS2-H3) ○上原康弘,子安大士,前川仁(埼玉大)
    概要:車載カメラを利用した運転支援技術に,交通信号機の認識がある.機械学習を用いることで高い検出精度 が期待できるが,大量の学習サンプルをバランス良く用意する必要がある.そこで,本研究では交通信号機認識 に適した学習サンプルの生成を行い,学習サンプル収集コストの削減と精度の向上を図る.また,機械学習手法 についても検討を行う.実験では車載カメラを用い,学習サンプル収集コストと精度の比較を行った.
    <キーワード>高度交通システム, 機械学習, 学習サンプル生成


    信号機領域の検出結果画像例

    IS2-D12 人の動作と物体の関連性に着目した室内シーン変遷のロギングシステム
    (OS5-H4) ○池上貴之, 川北真也, 川本祥悟,松尾直志, 島田伸敬(立命館大)
    概要:本論文では人の動作と物体の関連性に着目し,室内をモニターする中で起きる変化を検知して索引付けができるシステムを提案する.空間内の変化のうち物体が持ち込まれた・持ち去られた・移動したというイベントが検知可能である.既に保存されている人物が干渉した物体領域を手がかりとして検知の手法を提案する.また, RGB情報や深度情報, 人物Skeleton情報をネットワーク上の複数のクライアントに提供するセンサ情報サーバ(KinectServer)を実装した. 複数のKinectServerやWebカメラの情報, さらに複数センサの統合情報を集約する処理サーバ(プロセッサ)として従来のイベント検知アプリを実装した. 複数の地点にこれらの統合情報を提供できる可視化サーバ(VisualServer)を実装し, センサ・モニタネットワークインフラの構築を目指す.
    <キーワード>室内シーン理解,行動理解, センサネットワーク




    IS2-D13 遠隔注視点検出装置における眼鏡着用者対応のための近赤外光源の提案
    (OS5-H5) ○齊藤翔太,増田和也,福元清剛,海老澤嘉伸(静岡大)
    概要:我々の開発している注視点検出装置では,高速度カメラ,2 波長2 重リング近赤外光源, 画像差分法などを用いて,暗闇から直射日光下までさまざまな環境での瞳孔検出ができる.しかし, 光源における明瞳孔用LED と暗瞳孔用LED の位置の違いにより,眼鏡反射は残りやすく,特に 瞳孔が小さくなる高照度下では,眼鏡反射を瞳孔として誤検出しやすくなる.本研究では,差分画 像における瞳孔輝度を維持させながら,眼鏡反射像が相殺されやすい光源を提案する.顔面照 度が,4 万ルクス以上において,眼鏡着用者の瞳孔検出率が,これまでの光源よりも向上したこと を実験的に示す.
    <キーワード>瞳孔検出,高速度カメラ,眼鏡反射,高照度


    高照度下における瞳孔・角膜反射検出結果